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令和元年 子ども子育て・高齢者特別委員会(11月15日)

議事録

梶谷委員

立憲民主党新風会の梶谷優香です。令和元年第四回中央区議会定例会に当たり、通告書に従い、質問をさせていただきます。なお、再質問をあらかじめ留保させていただきます。

初めに、台風十五号、十九号及びその後の大雨により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

昨今、日本各地で自然災害が多発しています。ことしも大型台風が猛威を振るい、いまだ被災地では復旧・復興がなかなかはかどらない現状に、心を痛めております。災害は、私たち中央区民にとっても切実な問題です。

そこで、まず、中央区の災害対策について質問いたします。

中央区は、区民のおよそ九割の方々が集合住宅に居住しておられますが、昔ながらの風情が残る長屋には、災害弱者と呼ばれる御高齢の方々がお住まいになっています。最近の一連の災害でも、御高齢の方々が多く被害に遭われていることから、高齢者世帯はもちろん、ひとり暮らしの高齢者の方々を、近隣の方や地域の消防団が救出できる体制づくりが重要になっていると思います。

そこで、まず、地域にお住まいの要配慮者の方々が、発災後、速やかに防災拠点まで避難できる中央区の支援体制はどうなっているのか、お伺いいたします。

次に、集合住宅内での支援についてお伺いいたします。

中央区は、区民に在宅避難を呼びかけています。住民の九割が集合住宅にお住まいということから、集合住宅内での要配慮者の避難対策をどのように講じているのか、お伺いいたします。

中央区は、これまで集合住宅の防災対策をさまざま講じています。中でも、手を上げた集合住宅の方々には防災マニュアルも作成するなど、手厚い支援を行っています。しかしながら、中型以下のマンションでは、自治会組織が活発に活動していないところもあり、備蓄もしていない不安があることから、大きな災害発生後、このような集合住宅にお住まいの区民が防災拠点に避難してこられる可能性も高いと感じております。

そこで、在宅避難を呼びかけている以上、マンション自治会組織の防災意識の向上について、中央区がいま一度啓発していく必要性があると思いますが、いかがでしょうか。

災害時の避難所については、日本の避難所のあり方が、国際基準である人道憲章と人道対応に関する最低基準、いわゆるスフィア基準と比べてどうなのかということが、東日本大震災後、議論になっています。東京都では、平成二十八年熊本地震支援の記録や、内閣府の平成二十八年度避難所における被災者支援に関する事例等報告書などを参考にして、避難所において、避難者一人一人の尊厳、健康を守り、安全・安心を確保することは重要であるとの認識のもと、良好な生活環境が確保されるよう、区市町村向けに、平成三十年三月、避難所管理運営の指針(改訂版)を作成しています。

そこで、現在、中央区は、この国際基準であるスフィア基準を反映した避難所運営をどのように考えているのか、お伺いいたします。

避難所での生活が長期になった場合、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの感染症対策が重要になってきます。一般的に、震災の後に出てくる疾患として、直後は外傷や循環器系の病気、それに精神的なストレスによる影響が重なり、やや時間がずれて感染症が問題になってくると言われています。感染症の発生の要素は、いつの時期、季節に災害が起こったか、避難所での衛生環境、被災者の免疫状態、小児でのワクチンカバー率などが大きく影響すると言われています。日本感染症学会によると、東日本大震災では、岩手県の避難所でインフルエンザが再流行し、さらに三名が結核を発症しました。避難所生活で予想される、これらの感染症への対応について、中央区の方針、対策を教えていただきたいと思います。

防災拠点の備蓄品の中には、マスクがあります。日本橋小学校を例に挙げると、毛布が約一千二百七十枚に対し、マスクは五十枚と、かなり少ない数となっています。この備蓄品のマスクは、避難者というより、医療従事者や炊き出しを行う人をメーンと考えた備蓄量なのでしょうか。季節が冬だと、乾燥対策にもなり、何より集団生活を行う上で、マスクによる感染症の予防はかなり重要になってきます。支援物資として、メーカーなどから多く届けられるとは思いますが、まずは初期段階として、中央区としても相当数を備蓄し、対応するべきだと考えますが、この点について、中央区の現状と今後の方針についてお伺いいたします。

災害時の避難所においては、発災直後は大混乱し、誰しもプライバシーのない生活を余儀なくされます。初対面の人たちが大勢いる中で自分の生活をさらけ出すことは、多くの人にとって大変な苦痛となります。避難所生活が長期化すればするほど、食事や入浴、トイレと並んで、プライバシーの問題は深刻さを増します。お年寄りの方が夜中にトイレに行こうとして、他人の足を踏んでトラブルとなり、以来、怖くてトイレに行けなくなったという例もあるそうです。不眠や脱水症状により体調を崩し、入院するお年寄りも多くいらっしゃるのが現実です。寝たきりにより、おむつがえ等の介護を要する御高齢の方や障害がある方にとっては、周りの目や排せつのことが心配で避難所に避難できないと拒否する例もあります。また、小さい子供たちの泣き声がうるさいなど、発災後のストレスから、一層他人が出す音にストレスを感じ、トラブルになるケースも発生すると思います。

そこで、避難所でのプライバシーの確保について、中央区のお考えを伺います。

中央区では、大人二人がゆっくり横になれる広さの屋内間仕切りテントを各避難所にも備蓄し、さらに区内備蓄倉庫に五百五十張り備蓄していますが、三人以上の家族になると、これでは狭く、使用できなくなってしまいます。三人以上の家族の場合は、どのように対応なさる予定なのでしょうか。

教室なども使って、若い女性の避難者や小さな子供を伴って避難してきたケース、介護を必要とする御高齢の方々や障害がある方々など、各避難者の状況やニーズに合わせて、発災直後から適切に対応していく必要があると思います。実際に災害が発生し、人々が避難所に押し寄せてこられる場合に、トラブルを未然に防止するためにも、さまざまな状況を想定し、マニュアルを充実させ、避難訓練等で確認をしていくことが大切だと思います。

プライバシーの確保について、今後、どのような対応策を検討していくのか、中央区としてのお考えを教えてください。

障害がある方々の避難について、中央区では、まずは避難所に避難し、三日以内に福祉避難所を開設するとしています。ですが、すぐには気づかれにくい身体障害、自閉症や精神障害などがある方々にとっては、被災のショックに加え、突然見知らぬ大勢の人たちの中で生活をすることは、パニックを起こしたり、病状の進行にもつながりかねません。

そこで、福祉施設やホテルなどと協定を結び、あらかじめ福祉避難所として指定しておくことを検討してはいかがでしょうか。内閣府の避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針でも、御高齢の方や障害がある方、乳児、妊産婦等の要配慮者に対して、多様な避難場所を確保するという観点から、旅館、ホテル等と協定を締結し、借り上げるなど、事前に対応することとしています。例えば、文京区では、区内にある大学や助産師会などの協力を得て、全国に先駆け、区内にある四つの大学を、妊婦とゼロ歳児及びその母親を対象にした妊産婦・乳児救護所として、災害時の避難所として指定しています。

中央区では、ぜひ福祉施設やホテルなどと協定を結び、あらかじめ災害弱者の福祉避難所として指定することを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

あわせて、文京区のように、妊婦とゼロ歳児及びその母親を対象にした妊産婦・乳児救護所と同様の避難所の設置も検討してはいかがかと考えますが、中央区の御見解をお伺いいたします。

次に、台風十九号でお隣の台東区で問題になった、ホームレスの方々の避難所受け入れについてお伺いいたします。

台東区がホームレスの方の受け入れ拒否をしたことで、台東区長が謝罪をする事態になりました。渋谷区では、区民のための避難所と帰宅困難者の一時避難場所を、中央区同様、分けていますが、ホームレスの方は帰宅困難者の一時避難場所に案内をし、さらに帰宅困難者とは部屋を分ける配慮を行うこととしています。

中央区に、ホームレスと呼ばれる住所を持たない方は、東京都の調査では、二○一九年夏、昼間三十一人でした。一方、都市のホームレス問題も研究しているARCHという団体の東京ストリートカウントの集計によると、二○一九年夏、実際には八月二十三日の金曜日と九月六日の金曜日、深夜の調査で七十二人と、夜間は昼間の二・三倍という結果になっています。

これらの数字を踏まえ、中央区では、台風を初め、災害時に避難所において、ホームレスと呼ばれる住所を持たない方の受け入れ体制について、どのように対応するのか、教えてください。

災害時の赤ちゃんを守る対策の一つとして、文京区では、赤ちゃんが飲みなれていないために災害時に液体ミルクを活用できないことを防ぐため、さまざまな機会を捉え、液体ミルクの正しい使用方法を普及啓発し、誰もが正しく使える環境づくりに取り組んでいます。

今回の台風十五号、十九号の災害で大規模な停電や断水に見舞われた千葉県では、お湯で溶かす必要のない液体ミルクが活用されました。東京都では、平成三十一年予算特別委員会の中で、地域防災計画に液体ミルクの備蓄についての施策を新たに盛り込み、今後、区市町村の意見、賞味期限が粉ミルクよりも短いことなども踏まえながら、備蓄の方法や数量など具体的な検討を進めていく、液体ミルクの活用に向けて取り組む区市町村を包括補助で支援する、さらに、区市町村職員に対しても、液体ミルクに関する正しい知識について理解促進を図っていくと答弁しています。現在は、イオンと協定を結び、災害時に提供してもらうことになっています。

中央区においても、積極的に中央区にある企業との連携、災害時の液体ミルクの活用やミルクを飲むための使い捨て哺乳瓶の備蓄、災害時に備えた液体ミルクの正しい使用方法の普及啓発に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

エコノミークラス症候群と呼ばれる静脈血栓塞栓症が話題となった車中生活は、プライバシー空間の確保の限界を浮き彫りにしました。二○一六年の熊本地震では、多くの方が車中泊をされ、NHKの報道によると、四月十四日に地震が発生してから、五月二十日までの約一カ月間で五十一人が静脈血栓塞栓症と診断され、一人が亡くなっています。静脈血栓塞栓症の中で死亡の危険性が高い疾患に、肺血栓塞栓症があります。NHKの調査では、二○○四年の新潟県中越地震では、十四人が肺血栓塞栓症で病院へ搬送され、七人が亡くなっています。この肺血栓塞栓症の原因にもなるヒラメ筋静脈血栓は、東日本大震災後の新潟県の遠隔地避難所で、ほとんどの場所で一○%以上の率で見つかりました。新潟県は、東日本大震災の被災地ではないことから、被災地だから血栓ができるのではなく、避難所そのものに問題があることがわかりました。そして、避難所の環境をよくし、静脈血栓塞栓症を防ぐためには、簡易ベッドが有効だとわかってきました。

中央区の災害備蓄品の中には、簡易ベッドや簡易マットもありますが、備蓄数は限られております。そこで、段ボールを使った簡易ベッドも活用していただきたいと思います。

昨年九月の茨城県常総市の水害でも、多数の雑魚寝を余儀なくされた避難所がありました。段ボール簡易ベッドの使用率が高い避難所ほど、エコノミークラス症候群と呼ばれる静脈血栓塞栓症を予防できることがわかりました。ベッドのほうが寝起きが楽で、活動量が増すこと、安眠できて精神的に楽というようなことが理由だと考えられます。

中央区として、段ボール自体は企業と提携しているそうですが、防災拠点に避難してこられる御高齢の方々や、福祉避難所開設までの期間、避難所で暮らす障害がある方々が全員簡易ベッドで眠れるようにすべきではないでしょうか。中央区のお考えを伺います。

また、いつ提携企業から段ボールが届くのか、それまでの期間、どのように対応するのか、教えてください。

さらに、静脈血栓塞栓症の対策として、災害用弾性ストッキングがあります。弾性ストッキングは、特殊な編み方でつくられていて、装着すると足全体が圧迫され続けるため、下肢の静脈のよどみが少なくなり、下肢静脈の血流がよくなるという効果があります。これにより、足先から心臓への血液の戻りを助け、下肢静脈りゅうの鬱血症状を改善します。災害関連死の主因である静脈血栓塞栓症の予防に効果があるとされており、平成二十八年に内閣府が作成した避難所運営ガイドラインで、災害用弾性ストッキングの配布を推奨しております。堺市では、関西を襲う地震、風水害を想定し、本年八月、災害時における弾性ストッキングの提供について、渋谷区の企業と提携をしました。

中央区も、災害用弾性ストッキングの備蓄や企業との連携協定を検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

災害時のペットの避難についても、考えなければいけません。平成三十年度の中央区の犬の登録頭数は五千八百十頭で、年々ふえ続けています。御高齢の方で犬や猫と暮らしている方も多く、ペットを連れて避難所を利用したいと希望する方が多くいらっしゃいます。今回の台風被害が大きかった地域で、救助された方の中には、ペットを置いて避難所へ行けず、ぎりぎりまで自宅避難をした結果、身動きがとれなくなり、自衛隊に救出された方がいらっしゃいました。

避難所には、さまざまな人が避難してきます。救護においても、災害時はペットよりも人が優先される状況です。また、全ての人が動物好きというわけでもなく、動物アレルギーを持った人も避難するため、同じエリアでの生活は現実的ではありません。そのため、ペットを飼っている人同士が助け合い、避難生活を行うことも考えなければならない状況になっています。

中央区では、平成二十八年度から、ペットとの同行避難訓練を実施しています。そして、東京都獣医師会や区内開業獣医師と災害時における動物救護活動に関する協定を結んでおり、二十三カ所の避難所のうち、十カ所でペット同行避難が可能となっています。まずは、ペット受け入れ可能の避難所をふやすとともに、区内全域の全ての避難所でペット同行避難を可能としていただきたいと思います。

避難所のペット同行避難を想定する際、犬や猫をメーンに考えられていると思います。ペットは、ハムスター、ウサギ、亀、小鳥、爬虫類など、種類はさまざまです。受け入れ制限は自治体によってさまざまであり、小型犬のみと犬によっても制限をしているところもあります。

台東区では、区で作成した災害時の動物避難手帳があり、その手帳には飼い主の防災対策が詳しく掲載されています。江東区では、ペットの災害時対策ルールを発行し、日ごろからの災害への備えとして、基本的なしつけ、平常時からの衛生対策、ペットの身元表示、防災用品の用意を呼びかけています。さらに、中野区では、公益社団法人東京都獣医師会中野支部共催で、区立小・中学校を会場とする総合防災訓練において、犬の同行避難訓練を実施しています。

中央区としても、ペット同行避難のガイドラインや運営マニュアルを作成し、受け入れ可能なペットの種類を明確にするとともに、日ごろからの飼い主が備えるべきこと、そして、災害時の対応を周知徹底していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

そして、災害時における動物救護活動に関する協定を結んでいる東京都獣医師会や区内開業獣医師とも連携をし、避難訓練を行うべきと考えますが、中央区の御見解を教えてください。

次に、中央区の共生社会づくりについて質問いたします。

日本最大の政策コンテスト、マニフェスト大賞で、ことしグランプリを受賞したのは、障害の有無にかかわらず遊べるインクルーシブ公園でした。スペシャルニーズのある子もない子も、いろいろな世代が入り混じり合って安全に遊ぶことができ、さらには違いを自然と理解し合える工夫がなされている公園のことです。国営公園では、昭和記念公園などがあります。初めて都立公園でも導入されることになり、砧公園と府中の森公園では、現在、改修工事を行っています。

ことし二月の東京都議会の一般質問の中で、他の自治体もインクルーシブ公園をつくりたいときに、ノウハウと知識を伝授してほしいという要望がありました。その要望に対し、より多くの方々に、障害の有無にかかわらず、全ての子供たちが楽しむことができる公園づくりを知っていただき、他の自治体に取り組みを広げていくことは重要である、区市町村に対しては、利用者ニーズや、障害児が安全に使用できる遊具等に関して、公園に携わる担当者の連絡会で情報提供するとともに、区市町村職員も参加できる研修を開催し、技術の共有化を図っていくとの東京都の答弁がありました。

私は、中央区においても、ぜひこのインクルーシブ公園の整備を、まさに二○二○東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、可能な限り進めていくべきだと思いますが、中央区の御見解をお伺いいたします。

家庭を除き、多くの施設で原則屋内禁煙となる来年四月の改正健康増進法の全面施行に向けて、東京都、そして中央区においても、たばこ、喫煙に対する規制が強化されました。喫煙所が設けられた公園での喫煙は印象が悪く、歩きたばこと同様の危険や、ポイ捨て、受動喫煙等の問題も多くあります。子供も訪れる公園という場所での喫煙について、中央区としては、どのように考えているのか、教えていただきたいと思います。

あわせて、銀座や築地において、海外からの観光客の方々が路地裏などの屋外で喫煙している姿をよく見かけます。国際観光都市を目指す中央区においては、日本での喫煙規制をわかりやすく説明し、周知徹底することに努める必要があると思います。そして、人が多く集まる場所においては、公園ではなく、喫煙ブースを新たに設置することを検討する必要もあると考えます。屋外に設置する際は、通行人に配慮し、景観を失わない等の課題もあります。文京区は、喫煙者と非喫煙者の共生を図ることを目的に、平成二十九年度より、屋内喫煙所の設置及び維持管理に係る経費を、限度額四百万円、助成率一○○%で助成しています。

中央区においては、二○二○オリンピック・パラリンピックに向けて、多く集まるであろう観光客に対し、どのような対応を考えておられるのか。そして、新たな喫煙所設置に対する助成について、どのように対応していくのか、お伺いしたいと思います。

中央区では、出産できる病院が聖路加国際病院しかなく、その費用も百五万円から百十五万円と、非常に高額になっています。私は、毎年約二千人以上の新生児が誕生している中央区においては、より適切な金額で出産できる病院が必要ではないかと思います。中央区として、生活保護世帯や非課税世帯への助成は行っていますが、港区のように、所得にかかわらず、国からの四十二万円の出産育児一時金を超えた額を区から助成する制度を検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

妊娠届を提出した際に、中央区では、母と子の保健バッグを渡しています。母子健康手帳を初め、中央区が行っているプレママ教室などのさまざまなお知らせが入っています。世田谷区でも、妊婦健診から出産、そして出産後までの情報が入った母と子の保健バッグが渡されますが、そのバッグは工夫がなされており、たくさん小分けがついた一つのファイルになっています。その小分けには見出しがついているので、初めての妊娠、出産を迎えられるお母さんにもわかりやすく、優しいつくりになっています。妊娠初期、中期、後期、そして出産直後など時系列をつけて、そのときに必要な世田谷区の取り組んでいる事業の情報が、見やすく、わかりやすく伝えられています。

中央区でも、ぜひこのような形の工夫を母と子の保健バッグに取り入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

子育て支援としては、妊娠から就学まで、担当の保健師が子育てに関するあらゆる相談にワンストップで応じて、家族の全体の健康を支援するフィンランドのネウボラ制度や、産前産後の女性に寄り添い、支える専門家の重要性が注目されています。埼玉県和光市では、子育て世代包括支援センターを運営し、助産師や看護師などの資格を持った母子保健ケアマネジャーや、社会福祉士や保育士などの資格を持った子育て支援ケアマネジャーが、さまざまな相談に乗っています。

中央区では、中央区版ネウボラとして子ども子育て応援ネットワークを展開し、力を入れていますが、現状と今後の課題、中央区の方向性についてお伺いしたいと思います。

また、中央区では、聖路加助産院マタニティケアホームの協力を得て、産後、家族などの手助けがない、体調がすぐれない、初めての子育てで不安などのお母さんが、赤ちゃんと一緒に、助産師等から母子のケアや授乳指導、育児指導等を受けることができる宿泊型の産後ケア事業を実施しています。お母さんと生後十週未満のお子さんが対象となっていますが、まず、この事業の現状、そして、区としての今後の課題を教えていただきたいと思います。

中央区では、現在、新生児誕生祝品として三万円分の区内共通買物券が贈呈されます。私は、この区内共通買物券を、この産後ケアにも充てられるよう検討していただきたいと思います。産後ケア事業の中には、母乳外来や子育て支援ヘルパー、家事代行サービスもあります。そのような産後ケア事業を行っている各事業者と提携して、中央区も、より一層の産後ケアに力を入れていただきたいと思いますが、中央区としての御見解をお伺いいたします。

以上で、第一回目の質問を終わります。

区長(山本泰人君)

梶谷優香議員の御質問に順次お答えを申し上げます。

初めに、災害時要援護者支援についてであります。

災害時において、高齢者等の安否確認や避難誘導等を速やかに行うためには、地域の支援者による日ごろからの体制づくりや実地訓練が最も有効であります。そこで、今年度から、防災拠点運営委員会に対して、こうした準備の必要性を働きかけたところ、区内三カ所の拠点において、災害時地域たすけあい名簿を活用した安否確認訓練が実施されました。その中で、集合住宅においては、マンションの各住戸が安否確認ステッカーをドアに張り、フロアごとの担当が安否確認を行うなど、独自の工夫も見られました。こうした地域の事例を広く紹介し、さらに多くの防災拠点において安否確認訓練等に取り組んでいただけるよう努めてまいります。

次に、集合住宅の防災意識の向上についてであります。

大規模災害発生時に、集合住宅居住者が、ライフラインやエレベーターの停止を初め、家具類の転倒や飛散、水・食料等の備蓄不足などにより、自宅で住み続けることができず、防災拠点に避難される可能性があることは認識しております。こうしたことから、区では、在宅避難に対応できる環境づくりに向けた取り組みとして、マンションの規模に応じて防災マニュアルが作成できる震災時活動マニュアル策定の手引きの配布や、防災対策優良マンション認定制度による助成などにより、その対策の推進を図っております。区といたしましては、今後も個々のマンションの状況に応じた防災マニュアルの作成を支援していくとともに、区民ニーズに合わせたマンション防災講習会の実施など、さまざまな機会を捉えて防災意識の向上が着実に図れるよう、より一層の普及啓発に取り組んでまいります。

次に、スフィア基準を反映した避難所運営についてであります。

今後も本区の人口増加が見込まれる中、避難所に指定している小・中学校などの施設や設備環境には限りがあることから、居住面積やトイレ数といったスフィア基準を全て満たす避難所運営は、困難な状況にあると考えております。しかしながら、スフィア基準は国際社会における人道対応の事実上の基準であり、避難所を運営する上で参考にすべきものと認識しております。したがいまして、区では、可能な限りスフィア基準の理念を取り入れていく考えであり、国や都のガイドラインも活用しながら、避難所の環境改善に努めてまいります。

次に、感染症対策についてであります。

 避難所における感染症対策の方針としては、地域防災計画に、感染症の発生と拡大を防止するため、予防措置を行うとともに、感染症が発生した場合には、迅速かつ的確に必要な措置を講じると定めております。具体的には、予防対策として、避難者の方に、食事のときやトイレ使用時の手洗いを励行します。なお、水が使えない場合を想定し、ウェットティッシュや手指消毒剤などを備蓄しています。体調の悪い方を発見した場合は、早目にマスクを着用するよう呼びかけるとともに、手洗いの一層の励行などを行います。感染症患者を発見したときには、個別隔離できるスペースを確保し移すことで感染経路の遮断を行い、拡大を防止してまいります。

次に、防災拠点の備蓄品についてであります。

現在、防災拠点に備蓄しているマスクは、乾燥対策や感染症対策として避難者に提供するものではなく、救護所において医療従事者等が使用するために配備しているものです。しかしながら、大規模災害により避難所生活が長期化する場合や、インフルエンザ等が流行する季節などでは、集団生活を送る上で、マスクの使用による感染症予防は大変に有効であり、必要な対策であると認識しております。そのため、災害発生時の避難状況を踏まえ、マスクの使用が必要と判断した場合には、既に備蓄している新型インフルエンザ対策用約三十万枚のマスクを避難者に配布する予定としております。

次に、プライバシーの確保についてであります。

避難所は、他人との共同生活の場となることから、プライバシーの確保は、良好な避難生活を送る上で重要な視点であると認識しております。平成二十八年四月の熊本地震において、避難所のプライバシー確保が課題となったことを踏まえて、区では、全ての防災拠点に要配慮者用として間仕切りテントを配備するとともに、避難生活が長期化した場合に備え、防災倉庫へも備蓄し、避難所の環境改善に取り組んでいるところであります。このテントの活用に当たっては、必要とする世帯数や家族構成などを鑑みながら、要配慮者優先居室や乳幼児・妊産婦世帯優先居室の運用とあわせて、柔軟に対応していく予定であります。今後の対応策につきましては、これまでの災害の教訓を踏まえることはもとより、国や都における今般の台風十五号や十九号の検証結果等も注視しながら、さらなる環境改善に向けて検討を進めてまいります。

次に、福祉避難所の開設についてであります。

区では、避難所において生活が困難となった要配慮者を受け入れる二次的な避難所として、福祉避難所を設置することとしており、区内の特別養護老人ホームや社会教育会館等十二カ所を指定しています。福祉避難所は、おおむね三日後に、災害の規模や状況に応じて順次開設することとしておりますが、このうち障害者向けの福祉避難所である福祉センター及び教育センターについては、おおむね十二時間以内を目標に開設する予定です。国の指針では、公共施設のみでは量的確保が困難な場合に、ホテル等の活用が示されておりますが、現在の計画においては、福祉センター等の四フロアを確保しており、相談室などの個室スペースもあることから、量や障害の程度に応じた対応は十分にできるものと考えております。また、妊産婦と乳幼児を対象とした避難所につきましては、区内各避難所に設置する要配慮者優先居室において対応してまいります。

次に、避難所における路上生活者の受け入れ体制についてであります。

区内に二十三カ所ある指定避難所、いわゆる防災拠点は、主に地震を想定し、災害の危険がなくなるまでの一定期間の滞在、及び、災害により自宅にいられない居住者等が一時的に滞在することを目的として開設するものです。また、今回の台風十九号で開設した自主避難所は、台風などに伴う暴風雨や水害を不安に感じる居住者等が一時的に滞在する施設であります。その上で、大規模災害が起きた際、本区で最も重要な課題は、多くの帰宅困難者等が避難所に殺到することにより、区民が避難できなくなるような事態であります。したがいまして、防災拠点及び自主避難所の受け入れに当たっては、原則として、住所要件等を確認することが大切なこととなります。その一方で、暴風雨時など身の危険が差し迫っている場合には、避難できる場所を確保するなど、柔軟な対応が必要であると考えております。今回の台風の教訓を踏まえ、現在、都や特別区において、路上生活者への対応について検討を進めていることから、その動向を注視しつつ、今後、本区においても可能な対応策を検討してまいります。

次に、液体ミルクについてであります。

液体ミルクは、常温保存が可能であり、調乳する必要がないことから、災害時に利用しやすいといったメリットがあることは認識しております。しかしながら、液体ミルクはおおむね二十五度以下で保存する必要があり、本区の防災拠点倉庫などの施設環境では備蓄が困難な状況にあります。また、災害時の活用に向けては、使用方法等を区民等に正しく理解していただく必要があることから、区といたしましては、平常時からの普及啓発も含め、液体ミルクの活用について、都や他区の動向も注視しながら検討を進めてまいります。

次に、エコノミークラス症候群の予防についてであります。

防災拠点には、ござ、エアマット、毛布に加え、要配慮者用として簡易ベッドを十台配備しておりますが、倉庫のスペースには限りがあることから、これ以上の簡易ベッドの備蓄は難しい状況にあります。また、協定事業者から供給される段ボール型簡易ベッドについても、災害発生時の交通状況などにより、初期における配備が困難となる可能性があります。そのため、災害の規模や避難状況によっては、高齢者や障害のある方全員に簡易ベッドを提供できないこともあり、そうした場合も含め、エコノミークラス症候群の予防に関するリーフレットの配布や掲示を行うとともに、毎日の軽い運動や小まめな水分補給を呼びかけていく予定であります。

次に、災害用弾性ストッキングの備蓄についてであります。

弾性ストッキングは、エコノミークラス症候群の予防に有効とされる一方、血行障害などを有する方については、慎重な使用が求められるとの見解もあります。そのため、配布する対象者の選定などに課題があることから、こうした課題への整理・検証を行った上で、今後の備蓄について検討してまいります。

次に、ペットの同行避難についてであります。

避難所におけるマニュアルについては、現在、犬と猫を想定し、飼い主の責務なども盛り込みながら、各防災拠点運営委員会において策定を進めているところです。飼い主への周知は、マニュアルが確定した拠点から順次行ってまいります。防災拠点のペット同行避難訓練については、現在、中央区動物との共生推進員と連携し、実施しているところです。獣医師との連携は、災害時における動物救護活動に関する協定書に基づき、東京都獣医師会と協議してまいります。

次に、インクルーシブ公園の整備についてであります。

障害の有無や世代にかかわらず、誰もが安全に安心して楽しむことのできる公園を整備することは、必要であると認識しております。これまでも、公園の設計において、法令を遵守した安全な遊具の設置や、園路、公衆便所といった公園施設のバリアフリー化など、ユニバーサルデザインを取り入れた公園の整備を行ってまいりました。インクルーシブ公園の整備につきましては、現在、都立公園において導入が進められております先行事例の情報収集や、専門的な技術の研究に努めるとともに、本区の地域特性などを踏まえた整備のあり方について検討してまいります。

次に、受動喫煙の防止についてであります。

公園は、子供からお年寄りまでの幅広い年齢層が利用する憩いの場であり、遊具やベンチなど、利用者のためのさまざまな施設が設置されています。分煙環境の施設については、公園を取り巻く周辺の状況や利用実態を踏まえ、分煙環境が確保されている公園に設置しております。喫煙規制の周知につきましては、現在、東京都と連携し、パンフレットの配布等により、飲食店を中心に行っているところであります。今後とも、多くの観光客が利用する飲食店やホテルなどの事業者と連携しながら、喫煙規制の幅広い周知を図ってまいります。また、公衆喫煙所の整備につきましては、東京都の補助制度が設けられていることから、これを活用し、民間事業者に対する公衆喫煙所の設置補助等の検討を進めているところであります。区といたしましては、さらなる喫煙マナーの普及啓発、喫煙場所の確保等により、分煙環境の整備を積極的に推進することで、喫煙者と非喫煙者が共存できるまちの実現を図ってまいります。

次に、出産時の支援についてであります。

本区は、区内で出産できる医療機関を確保するため、区が建設費等の助成を行い、平成二十二年に聖路加助産院を開設し、六十万円台後半の分娩費用で利用できる環境を整えているところであります。また、通院に要する交通費等の経済的負担の軽減の観点から、タクシー利用券を贈呈しており、現時点では、さらなる助成は考えておりません。母と子の保健バッグについては、現在、特別区共通様式のものを使用していますが、中に同封するものが年々増加していく傾向にありますので、より使いやすいものを配布できるよう検討してまいります。

次に、中央区版ネウボラである子ども子育て応援ネットワークについてです。

本区では、産後鬱や育児不安の解消などの観点から、妊娠・出産・子育てに至る過程を一貫して支援するために、さまざまなサービスを関係各課が連携して提供する体制を整備しております。この取り組みは今年度開始したものであり、今後、ケースを積み重ねながら課題の洗い出しを進めて、より充実したものとしてまいります。

次に、産後ケアについてであります。

産後ケア事業は、子育てに不安を抱える産婦の支援を目的に、平成二十九年に開始しました。利用件数は、平成二十九年の百六十五件に対して、平成三十年の二百二十八件と大きく伸びております。また、施設が行った利用者アンケートでも、九九%の方が満足であると答えるなど、満足度の高い事業であり、現状において、特に大きな課題を認めておりません。また、新生児誕生祝品の産後ケアへの使用については、聖路加助産院を初めとする各事業者に区内共通買物券取扱店への登録を働きかけてまいります。

答弁は以上であります。

〔一番 梶谷優香議員登壇〕

梶谷委員

それぞれ御答弁いただき、ありがとうございました。

中央区基本構想では、自助・共助の取組を積極的に支援するとともに、公助と一体となった総合的な防災力の向上に取り組んでいくと明示しています。そこで、今回、大規模災害に備え、中央区の防災対策について質問と提案をさせていただきました。本日私が提案したことのほかにも、さまざまな課題をクリアしていかなければならないと思います。私も、引き続き住民の方々の声に耳を傾け、その声を区にしっかりと届けてまいりますので、中央区の防災力のさらなる向上に向けて、全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

年齢、性別、国籍、障害の有無などさまざまな違いを超えて、相互に理解し合える地域社会の実現を目指し、ユニバーサルデザインのまちづくりや心のバリアフリーに取り組んでいくと、中央区基本構想に明記しています。そこで、今回、インクルーシブ公園について、中央区でも積極的に取り組んでいくよう提案させていただきました。

公園に関連して、改正健康増進法の全面施行に向け、喫煙ブースの設置等についても提案をさせていただきました。今後、ぜひ中央区も積極的に取り組んでいただきたいと思います。

最後に、周産期の母子や、その後の育児を総合的に支援していくために、区独自の出産費用の助成、子ども子育て応援ネットワークの課題、出産祝いの区内共通買物券の各種産後ケアサービスへの充当、周産期における時系列に沿った、わかりやすい情報提供などについて、質問と提案をさせていただきました。中央区でも、お母さんやお父さんたちが安心して心穏やかに出産・子育てというかけがえのない時間を過ごせるよう、今後とも、さらなるサービス向上に向けて取り組んでいただきたいと思います。私も、二歳児の母として、子育て中のママ目線で今後とも積極的に必要な施策を提案していきたいと思います。

今回私が質問、提案した内容について、少しでも区政に反映していただけるようお願いいたします。

以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

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